一葉の紙幣に五千の想いを詰めて

半年に一度の制限改訂。
 遊戯王OCGはこれで使用可能枚数を制限する事により、ゲームバランスキープを図っています。

もしこれが無かった場合。
未だに【苦渋エクゾ】も現役なら【八咫ロック】も健在であり、【現世と冥界ワンキル】【ドグマブレード】も容赦しない、カオスの極みどころがガチのじゃんけんゲーとなる。
《エフェクト・ヴェーラー》等の出現もあり、現在も当時と同等の実力を持っているとは限らないが、カードプール膨張の裏で暴虐なデッキは野放しのまま。
そのため、逆にお伺いをたてるような差しさわりのないカードしかデザインできず、環境の変化も硬直的になるでしょう。
「使えないものを売るなよ」といった批判もありますが、拡張性のあるゲームとして存続してゆくうえで一定の意味を持った制度でもあります。

しかしそれでも、インフレを際限なく進めてゆくビジネスモデルである以上、最新のデザイナーズデッキと旧来のカードを用いたデッキには大きな差が生じます。
長く愛したデッキが全く戦えなくなることに、一抹の切なさを覚えることも多い。
しかし制限改訂はあくまで「商業的な存続」を目的としたものであり、主に最新のカードのため。
旧シリーズ魔改造等で一定の配慮はしつつも、涙を飲む古参の数々にはなかなか応えてくれません。

そんな中で独自の規制を制定した有志の大会も企画されているようです。
 今回のテーマは、そんな独自ルールに対する考察です。

遊戯王ADS大会@wiki-樋口杯

貨幣偽造スリーブ
 樋口スリーブ。90度回転させてご利用ください。
「5000円以内の安価で構築できるデッキ」による、YY氏主宰の大会。
  無断で記事にしてすいません。なかなか面白い存在でしたもので。

ワンコインならぬ札1枚での構築を目指した、新規向けの想定。
実際に友人勧誘の際の参考にもしやすい。

このレギュレーションの特長としては以下が挙げられます。

・ノーマルカードが主役
 40枚デッキを5000ならば1枚当たり100円平均のため、そこそこの自由度があるよう感じられる。
 しかしこのカードゲームはデッキ上限60・エクストラ15・サイド15の計90枚まで使用できます。
 無難に40-15-15の70枚で構築すると、1枚当たり70円平均まで低下。
 そのため、如何に1枚30円~50円のノーマルカードで節約できるかに使用可能カードの範囲がかかっています。
 特に高価なカードが多いエクストラデッキにおいて、《マジカル・アンドロイド》や《キングレムリン》の有難味をかみしめられること受けあい。
 再録皇さまやGS入りの星屑・黒薔薇も今では心強い。

・枚数調整の美学
 逆に、マッチ対策をかなぐり捨て構築枚数を減らすことで、金額的スペースを空ける事も可能。
 群雄割拠で特定のメタが組みづらい事もあり、対応力をとるか我が道をゆくかは決闘者次第。
 EXデッキを多用しない【ロービート】やメイン投入の上級モンスター軸にするもまた生存戦略。
 昔はEXデッキ無制限で「持ってるだけ積んどけ」だったわけで、制約があるからこそ取捨選択に価値が出る。

・汎用カードの排除
 ヴォルカドラグーンのような、多くのデッキに無個性に組み込める強力なカードが採用しづらい。
 汎用=高需要なため、高価な場合が多いためです。
 このため、需要がニッチで安価なカードが注目され、普段見られないコンボに活躍のチャンスが。
 《死者蘇生》クラスの超汎用カードは再録回数もありそれなりの価格を維持して採用の余地がある程度なのも面白い。
 強力な高額カードのスペースを空けるために極限まで他の価格を絞るのもまた愛のなせる業。

・古いカードほど有利
 新しいカードの方が個々のカードパワーは高いが、その分価格が下がっておらず構築が難しい。
 そのために実質的な準制限・制限のような制約を受けるカードもしばしば。
 対して旧カードは需要低下もさることながら再録・頒布数の影響で価格も低く推移しています。
 このため、本来通りの動きもしやすく、強力な汎用カードを採用する余裕も作りやすい。
 一点集中の超性能と蓄積によるテクニシャン、ポケモンに近しい関係を感じるものです。
 逆に絶版プレミアで不当に高いカードも存在することには注意。

・新たな軸の発掘
 とはいえ最新カードも一度にまとめて収録される傾向上、平均レアリティは低いことも多い。
 必須とされるパワーカードは採用しづらい分、型の違いで採用されなかったカードも注目される。
 【魔導】でジュノンに隠れるラモールや【水精鱗】メガロアビスの陰の下級展開力の神髄だとか。
 洗練されすぎたガチより、本来こんな動きを目指したデザインなんだなぁと想いをはせられる。
 エース規制後の未来環境の予行演習ともなりうる。

・下位互換の活躍の場
 制限カードの他、《サイクロン》等は今でも200~500円程度の倍率をもつ。
 これを下位互換の安価なカードに仕事を委託することで、採用スペースを確保できる。
 「汎用性を犠牲にしてどの仕事を任せたいか」、というカードの役割にも改めて目を向けられる。

・需要・供給が環境に依存して変化する
 例えば【炎王】は発売当初はヤクシャが高価で構築難度が高かったが、現在はそれなりに値段も落ち着きカード選択の幅が広がっている。
 《王宮の鉄壁》のような現環境を牛耳るメタゲームに参加するカードは高騰し使用が難しくなる。
 かと思えば《デモンズ・チェーン》のように再録による価格降下で使いやすくなるカードも存在。
 このように、時間依存でデッキ構築の幅が上下するわけです。
 デッキの使いまわしができないのは難点ですが、元々【剣闘獣】におけるベストロと天機のように、規制と新段追加によるカードプールの変化の中で生まれるものが環境。
 流動的な、延長線上の概念であると思えば気が楽。

・自身のこれまでを見直す場
 カードプールをある程度確保しているプレイヤーにとって、いくら高価なカードとはいえ「もっているもの」である。
 そのため、何の気もなくデッキの値段を算出してみると、思った以上に跳ね上がっていたりする。
 いかに自分が高額なカードを蒐集し続けていて、それを頼りにしているかが浮き彫りになる。
  まぁ湯水の如く金を使って全デッキに使い回さず投入している方もいるでしょうが…。
 慣れ親しんだ相棒としばし別れ、新しい世界を探すことにもつながる。

初心者に優しい門戸でありながら、本質は「価格」を指標とした、一種のデッキキャパシティ制度であるといえます。
Eternal BattleのSP・MPのように、ある種そのカードの評価を絶対・相対共に反映した数値でもあります。
レアリティ・収録状態など絶対的な強さのみの指標ではありませんが。
そのため、実際にはカードの知識量を試される、ベテランの腕の見せ所という一面も持ちます。
いかに「注目度が低くて安いけど使えば強いカード」を知っているか、貴方のセンスが試される。

諭吉杯等である程度応用が効くシステムなのも一興。
 この場合なら征竜2枚程度だとか、ある程度の高額カードを使う余地も現れるでしょう。

キャパシティシステムは中々に優秀な概念だと思うのですが、これを現物のカードゲームで管理するのは難しいでしょうねぇ。
管理対象も膨大な上、一定周期で査定評価するシステムと共にそれを確認しやすい環境も必要。
ソーシャルのようなデジタル管理のネトゲでこそ、採用価値のあるシステムだと思いますが…。

そのうちデッキ・カードごとの個別評価もしていきたい所存。
 ひいては「新規者の手の出しやすいデッキ」のデータベースたりうるわけですし。
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