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-哀悼- 保健室の死神 9巻感想


先日連載終了し後はNEXTの特別編を残すのみとなった「保健室の死神」。

仮にレビューというものが販促・ひいてはその作品の継続が希望として行われるとしたら意味は無いけれども。
それでも9巻で再度読んで美意識編は傑作だったと改めて思ったため感想をば。

美意識(ヴィーナス)編は本作の最終章となった長編「SICKS」編の一節。過去編導入と共に9巻の肝。
SICKSに奪われた抽出銃を取り返すために、学生4人で美愛(エロス)と利愛(プラグマ)の守るアジトに潜入する話。

基本的に保健室の死神の長編はテーマ性がしっかり描かれていて個人的に心揺さぶる傑作揃いだと思う。
 「逃避」編然り「劣等感」編然り、罹人の歪んだ望みからハデス先生が解放する形。
しかし、今回は子供達で立ち向かう。相手取る罹人が同世代の子供の美愛である点も一線を画す。

この話の素晴らしいと思う点。

○明日葉がキレた
明日葉は基本的に読者視点のツッコミ担当のキャラ。一度も病魔に罹っていない稀有な人物。
心配性であるが故に、ずっとハデス先生の自己犠牲によって守られている事にわだかまりを抱えていた。
その無力感が、今回で爆発。これに至るまでの機微がずっと描かれていたからこそ、今回のある種暴挙の動機付けが強固であったように思う。
 明日葉大活躍に関しては、人気投票1位という結果も関係していると思われる。
 順位には劣等感編の活躍も大いに関係していると思うので、需要にも応えている点は完璧だと思う。

○個性
この話ではアジトを突き止める捜査、潜入+対利愛、対美愛の3段階4話で構成されている。
 そのそれぞれで、4人が実に個性的な働きをしている。
 劣等感編でも各々の長所について言及されていたが、その通りの活躍である。

・シンヤ 力強さ
 聞き込みでは身軽な機動力、潜入時は鍵の破壊と力や活発さが見て取れる。
 対利愛、対美愛と直接的に戦ったのも彼女である。
 その力による、女子としての異質感は美愛との決着に大きな意味を持つ。
・美作 人望
 聞き込みでは顔の広さや本吉を活かした情報網、対美愛で仲間を庇ったシーンが美っちゃんたる所以。
 暴走する明日葉を殴るシーンなど、人格面で本当に好漢である。
 見た目を活かした脅しかけ等、彼の魅力が直接的な成果になりづらいのが惜しい所。
・藤 回避力
 家庭環境で培った隠密スキルを潜入で活用。対美愛時は早々にノビてしまったが・・・。
 多少ラッキーパンチながら尾行でアジトも突き止めている。
 聞き込み以外のアプローチを取るのも藤君らしい。それで成功している辺り要領が良い。
・明日葉 思慮深さ
 一貫して司令塔としての冷静さを発揮。
 買出しからの戦力把握、未知の能力に対する即座の対応と、観察力も鋭い。

明日葉の辛い所は、行動力・考察力があっても能力不足が目立つところ。
 実際のところ、直接的な手柄は殆ど他3人のものである。
 劣等感編の活躍も、あくまで「助けを呼ぶ」事にあった。
彼の素晴らしいところは、その無力感も実感して、最初から「力を貸して」と言えた所。
 冷血という圧倒的な力を持って一人で背負い込むハデス先生の対極とも言える。
 ひとまかせのようだとも言えるが、彼自身も最善を尽くしている。

キャラを立てるのは漫画の必須条件の如くよく言われるが、その点実にうまいと思う。
 言動もさることながら、個性を能力として活かし、しっかり活躍させている。
極めつけは美愛の「美意識」発動時。姿を全て罹人と同じにする」という能力。
 外見情報を封じても、言動・表情で皆誰か分かるのだ。素直に凄いと思った。
 そんなに奇抜でも無い、普通を逸脱しすぎない個性でもここまでキャラは立つのだ。
  一貫性の過ぎたワンパターンや独特すぎる価値観だけがキャラではない。
  保健室の死神は個性をテーマにしている割には、実にキャラに人間味があったと思う。

○美愛
 この話において、達成のための壁であると同時に彼らの観測者でもある美愛。
  うろたえない・他人を庇う・戦う女の姿を見て、普通と異質の境界で戦慄する。
 自身の特殊な価値観のせいで、いわゆる普通から排斥された孤独感が見て取れる。
  突破ではなく救済をもって解決としたのはハデス先生を見てきたからこそ。
  ハデス先生は自身の行動をもって教育者であったのだと思うと胸が熱くなる。
  教え子による解決、そう思うとやっぱりハデス先生がもたらした救いなのだろう。

SICKS編、引いては本作全編通して、普通と個性との折り合いがテーマとなっている。
 これを描ききった本編は集大成として素晴らしいものだったと思う。

ついでに持ち上げておくと、作品の構造からして技ありが冴える。
能力バトルと日常もののメリハリが罹患者と罹人という差異で綺麗についている。
 安田の様な単発の爆発力から、長編の重みどちらにも設定やテーマが生きている。
病魔の存在自体、特殊能力と人格がかみ合う上手い設定だと思う。
 能力の説得力や解決すべき趣旨が明確でわかりやすい。
どこまで計算か知らないが、流石審査員の時に「商品としての格」という言葉を出す先生だ。
 藍本先生は表現媒体でありかつ商材としての漫画を良く分かってる方のように感じる。

まぁ纏めると藍本先生はガチだから次回作にご期待くださいって話だよね。

しかし、お正月編の収録が後回しになった諸事情ってなんだったんだろうか・・・。
 前巻の発売時期からして、焼肉のほとぼりが冷めるのでも待ったか・・・?
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たまに漫画・アニメ評とか。
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